「自粛から日本酒を救え」こぼれ話・第2回

「東北の酒」紹介する2way、
「Save The 東北の酒」と「いま買うべき東北の日本酒リスト」

今回ご紹介するのは東北の酒を飲んで支援してもらおうと、酒蔵や銘柄の紹介を中心に行なっている2つのサイトです。その手法はきれいに正反対。言ってみれば、自力=「Save The 東北の酒」と他力=「いま買うべき東北の日本酒リスト」でしょうか。本編はこちら

 

……もちろん、ジョークです、自力と他力。
でも、リストのベースを作って自由に書き込んでもらうという「いま買うべき東北の日本酒リスト」のシステム、これこそ、インターネットならではの活用法ですよね。

高梨治人さん

主宰者で管理人の高梨さんご自身、インターネットのサイト上で趣味の自転車仲間を募り活動しているとのこと。3月13日にはオフ会を予定していたのですが、中止したそうです。それから徐々に自粛ムードになっていく中で、本当にこれでいいのかなという疑問、不謹慎かもしれないけれどお酒を飲むことは悪いことじゃないはず、飲んで支援もできるはずとの想いが消えない。
その一方で、東北のお酒って、何があるのか自分もよく知らないけど、そういう人も多いんじゃないか、と考えた。そして、4日後の17日には閲覧者がリスト化に参加できるサイトを公開。かなり早い時期のスタートとなります。その後、Twitterに登録し拡散、そして、自由に書き込めるfacebookを開設。

いま買うべき東北の日本酒リスト

記事でもご紹介した通り、オープン直後から反応があり、3月末には約50蔵という速さ。それだけでなく、完全公開制、管理人は一切記入されたものに手を加えないにも関わらず、冷やかしやいたずら、揶揄する書き込みなどは一切なかったとのことなのです。確かに、悪意を持つなんて考えることもできない、そんな切迫感がありました。

自ら書き込んで、新宿の居酒屋「樽一」へ持って行ったポスター(左)。行きつけの居酒屋で使ってもらうために渡したポスター

サイトではリストに該当する項目しか書き込めませんが、Twitterやfacebookでは、さまざまな交流が行なわれています。

高梨さん自らが、自分が推薦する酒を書き込んだポスターを居酒屋に持ち込んだり、活用してもらうよう何枚かポスターを預けたりしました。

 

一方、葉石かおりさんが開設した「Save The 東北の酒」は、酒ジャーナリストならではの知識とルートを生かしたサイト。

震災が起きて間もなくから、酒造組合はもちろん、ジャーナリストの方々や、酒販店さん、問屋さんなど、それぞれHPやブログを持っていて、連絡を取れる人たちは、届いた情報をいち早く公開してくれました。

Save The 東北の酒

その中でも、新たに「Save The 東北の酒」と銘打ってオープンされたサイトは特に目を引きました。そして、私も含めて「誰だろう?」と思った方は多かったらしく、主宰者を問い合わせるメールがたくさん送られてきたそうです。そして、オープンから10日後、サイト上で名前を明かしてご挨拶することとなりました。

震災以前から蔵元さんたちとは交流があった葉石さんも、震災直後、「緊急連絡が届かない可能性もあるため、緊急でない電話は控えるように」という意見もあったことから、電話をかけることがためらわれたそうです。留守番電話に伝言を残し、蔵元から電話があって無事が分かった時には、本当にほっとしたと言います。

酒ジャーナリスト10年の葉石かおりさん。

2月末には、「しあわせを呼ぶ東北のお酒『東北 美酒らん』」を発行。「Save The 東北の酒」や「サケマモル」でも紹介して来たお酒を中心に東北の酒、148本をきき酒し、どんな料理に合うかなどの提案をしています。印税の一部を義援金として寄付する予定です。

2月29日に発売された 「東北 美酒らん」。

葉石さんは、このサイトでの活動とは別に、個人として6、10、12月にチャリティきき酒会を開催。100万円近い義援金を集め酒造組合中央会に寄付しました。その際、チャリティ開催を発表すると、全く知らない、自らも被災されている酒販店さんが、酒を無償で提供してくれたり、酒蔵がオリジナルTシャツを提供してくれて、オークションに回すことができたり、といったこともあったそうです。

酒縁の強さを身に染みて感じたそうです。

 

最後に余談ですが、実は、たいへんだったのは私です。
何がーー。「いま買うべき東北の日本酒リスト」の主宰者さまと、ずーーーっと連絡が取れなかったのです。こちらのコラムとあちらの記事、作業はきっちり分けてやっているつもりなのですが、この時ばかりはそんなこと言ってられませんでした。

既に3回、メールを送っても返事がなく、取材拒否かなぁ、ぜひ入れたい、でも、もう諦めて3組だけで記事にするか、と思った矢先、「いいね!日本酒」のfacebook支援サイトランキングに登録があったと教えてくれたのは、なんと、取材で伺った「ハナサケ!ニッポン!」のタカハシさんでした。そして翌日、「いま買うべき東北の日本酒リスト」のfacebookに連絡を取りたいと書き込んだのでした。ところが、それでも連絡がない…….この際、立ってるものなら親でも使え、とばかりに、泣きつきましたよ、元締めの【スタッフの井上】さんに。実は、裏から手を回してもらって(?)、やっと主宰者の高梨さんと連絡が取れ、取材が間に合ったのでした。

それなのに、言ってくれるでないですか。金曜日の夕方、取材が終わって、「月曜日までに原稿を上げなければ」という私に、「〆切きついですねぇ」。
………誰のせい……?

サイトにあった連絡先に送ったメールへ返事がなかったことを伺うと、
「あまり見てないんですよね、あのアドレス」……。

Facebookに書き込んだ「連絡を取りたし」という私の悲痛なコメント。「消したろか」とも思いましたが止まりました。今も残り、涙を誘います。

 


「自粛から日本酒を救え」こぼれ話・第1回

ご愛読・ご協力に感謝!〜まずは「save sake project」から

2011年4月、被災した酒蔵とそれを取り巻く状況を、6回に渡って「日経ビジネス・オンライン」で連載させていただき、ありがたいことに想像を超える反響をいただきました。

今回、2011年に取材させていただいた方や気になっていた方々を取材させていただく機会を得て、こちらも大きな反響をいただきました。記事はこちら
加えて今回は、このブログを書かせていただいているということで、いつもお世話になっている(不義理をしてご迷惑をおかけしている)、この「いいね!日本酒」をはじめ、facebookを通じて、また実際に交流のある方々にも記事を紹介していただき、広めていただきました。感謝、です。

そして、シリーズ最終回でご紹介した「自粛から日本酒を救え」は、まさに「いいね!日本酒」が活動の中心に据えているソーシャルメディアの活躍を取り上げたもの。サイトを運営しているほとんどの主宰者が表には出ていないため、その裏側が気になっていた方も多かったのではないかと思います。

全く知らずに取材を申し込んだのですが、実は、「いいね!日本酒」とも縁浅からぬ「save sake project」と「ハナサケ!ニッポン!」は、イベント開催協力もしていた間柄。「早く言ってよ」、と後になって思いました。だって、「日本酒と着物 100人の女子会」にもいらっしゃっていたって言うじゃないですか、タカハシさん!
そして、「いま買うべき東北の日本酒」! 私が何度、取材依頼のメールを送っても、全く反応無し。そんな矢先に、ひょっこり「いいね!日本酒」の応援サイトランキングにご登録!

まるで、お手軽に知り合いの4人を紹介したとか思われそうなくらいリンクしてしまいましたが、リストアップした当初は、こんな風につながってしまうとは全く思ってもいませんでした。
もちろん、ここでご紹介した方たちだけでなく、酒蔵支援だけを取ってみても、「日頃、お世話になっている日本酒のため」と、多くの方達が支援サイトを立ち上げていらっしゃいます。その例として、この4つのプロジェクトを取り上げさせていただきました。

で、4つのプロジェクトを1回で紹介しなければならないという制約のため、盛り込めなかったことがたくさんありました。せっかくなので、この場を借りて、3回に渡ってご紹介させていただこうと思います。

関口哲人さん

まずは馴染みのあるところで、「save sake project」の関口さん。「いいね!日本酒」が協力させていただいた「日本酒と着物 100人の女子会」を企画した一人です。裏方に徹していらっしゃいますが、「いたね、この人」って感じで、見覚えがあるのではないでしょうか。

学生の頃から学園祭の実行委員も進んで務め、イベントの幹事も面倒とは思わない、という関口さん。
「だから、今も飲み会の幹事を引き受けている感覚」なのだそうです。実はそれまで日本酒を飲まない人だったのに、今では1杯目から日本酒!
というわけで、基本は一匹狼ですが、「日本酒と着物 100人女子会」であおい有紀さんや福山亜弥さんと組んだように、その都度、一緒にコラボする人のカラーや想いによって、違ったものが生まれて来る、そんな面白さがあって続けているとのことです。

save sake project

企画している女子会は、2ヶ月に1回行なっている鎌倉の「たからの庭」以外は基本的に不定期ですが、「やり始めた責任はあるから」と、無理せず、ずっと続けて行く決意だそう。
「たからの庭」では毎回、東北の酒を取り上げ、また、「ハナサケ!ニッポン!」とコラボすることがあれば、やはり東北の酒をクローズアップすることになるので、それ以外では、むしろ東北以外をケアしていくことが必要、と。
その一方で、本当に東北の酒が飲まれているのかどうか、調べてみたいな、とも考えているそうです。