「いいね!ランキング」上位蔵に聞く〜 本家松浦酒造

日本酒を女性に! 徹底した気持ちが伝わり9位の「鳴門鯛」

創業は文化元年(1804)。明治19年(1886)から「鳴門鯛」という銘柄で醸し続けている歴史ある本家松浦酒造さん。徳島県と言えば鳴門。激しい鳴門の渦にもまれて育ち、身の引き締まった鯛によく合うお酒です。

ところが、ホームページやfacebook(以下FB)をのぞくと、現れるのは酒粕ケーキだったり「女子」の文字だったり……。女性に向けて発信していることが分かりすぎるほど表現されています。

確かに、最近、女性の日本酒人気は高くなっていて、女性に向けたアピールも増えています。けれど、ここまで徹底しているのは珍しい。やはりそこから伺わなければ。

 答えてくださったのは、IT企業に長く勤めて家業に入り、2011年に現職に就かれた松浦素子社長です。


「やはり、女性に注目してほしいという思いが強いんです」


「鳴門鯛」という歴史ある銘柄やロゴマークは守っていきたい。変えるつもりはない。その一方で、もちろん女性ファンが増えているという現状を捉えたアピールでもあります。けれど、もっと深い理由があったのです。

社長が会社に入って間もなく、小学校の社会見学、企業訪問で、子どもたちが蔵を訪れました。ところが、中に居心地の悪そうな子どもがいたので、尋ねたそうです。

「お酒とタバコはどっちが体に悪いと思う?」

その答えは「お酒」。

驚いて、他の子どもたちに「みんなもそう思う?」と聞いてみたら、大勢の子どもが「そうそう」と相づちを打ったというのです。

子どもが口にする言葉の陰には親の影響が大きいもの。特に母親の認識や意志が強いでしょう。母親がお酒に対して良い印象を持たないと、そのことが子どもに伝わる。

そこで、「この事実をちゃんと認識して対応しなければならない」と、気持ちを引き締めます。それと共に、女性に向けて発信し、特にこれから母親になるであろう若い女性から日本酒への悪い印象を払拭したい、親しんでほしい、と考えたそうです。

日本酒を愛する身には、なんとも切なくなるエピソードですが、これも現実です。


それと同時に、やはりお酒がおいしいものでなければいけません。

2008年からは、弟で専務の松浦正治さんが杜氏を務め、2010年には早くも「鳴門鯛 大吟醸」が「全米日本酒鑑評会」において金賞を受賞。2012年に全国新酒鑑評会で金賞受賞。順調のようですが、姉として、社長として、まずは杜氏が、自分の味、酒質を極めてほしい、と語ります。

そして、杜氏の仕事を側面からサポートする意味でも、
「FBでは、もっと蔵の日常を紹介して、酒造りというものを伝えていきたいんです。一般の人にとっては接点のない世界ですから、見えてきませんよね」と語ります。

実は、社長ご自身、酒蔵の娘として育ってはいても、蔵と自宅が離れていたこと、そして、早くに家を出てしまったので、全く様子は分からなかったのだそうです。

「自社に入り、改めて酒造りの様子を見てみると、みんな黙々と、あうんの呼吸で作業を進めていく。その背景では、例えば米が蒸されていく音が聞こえるだけ。本当に手造りで、心意気で造っていることが伝わってくる……。その空気感までをも伝えたい、と」思ったのです。

酒造りの季節に酒蔵見学をしたことがある人なら、 何も言わずとも蔵人たちが自分の技術を持って黙々と役割をこなす姿に、感動すら覚えたのではないでしょうか。

社長のこの目線は、日本酒入門女子にも訴えるものだと思います。
加えて杜氏は女性好みの優しくフルーティなお酒も得意、と社長は見ています。その面でも女性にきっとアピールできる。

さて、肝心の「いいね!」が上がった背景は?

「酒粕ケーキの発売前後ですね。昨年の11月発売でしたが、その前は300程度だったのが、3ヶ月たたずに800台まで上がりましたから」
………。

さらに、IT企業ご出身の社長だけに、ご自身のFB友達が1000人以上! スタート時はそのお友達に声をかけて増やしていったのだそうです。そして、
「『いいね!日本酒。』ランキングで20位以内に入って、全国の方に『鳴門鯛』の存在を知ってほしい、と強く思っていたんです。それで、酒粕ケーキに取り組んだ」

奮起するきっかけの一つに「いいね!日本酒。」のランキングもあったとのことで、こそばゆいですが、うれしいですね。

しかし、ポイントアップの秘訣は酒粕ケーキ!?
王道ではないかもしれませんが、入ってくれた人たちがちゃんと残っている。きっかけは別でも、いつの間にか日本酒の魅力に触れ、気づいて、好きになってくれる。可能性を強く感じます。

女性が嬉しくなるような絵柄があふれています。少しずつでも日本酒に興味をもってもらいたい、と、その隙間に酒造りの様子をしのばせて。

「これからの課題は、会社紹介とショッピングのサイトを分けて、役割を明確にすること。それと、HPのFBへの入り口ももうちょっと入りやすいものにしたい」
そう話されたと思ったら、HPが、もうリニューアルされていました。仕事が早い。

歴史と伝統の日本酒の世界。それに相反すると思われるITの世界。
しかし、それが一緒になったら、こんなに強力なバリュー、価値と発信力はない。それは日本国内だけに止まらない可能性を持っている。そのことを良くご存知で、まだ少々の戸惑いも持ちながら、「これしかない」という思いで運営されているようです。

日本酒の新しい世界への突破口は、こんなところにあるのかもしれません。

アンケートの結果はこちら
facebookの「いいね!」ランキングはこちら


コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>